(社説)參院一票の格差 今度こそ抜本見直しを

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 「一票の格差」が放置され、有権者の意思が適切に反映されなければ、議會制民主主義への信頼は揺らぐ。參院は「良識の府」を自任するなら、投票価値の平等に向け、今度こそ本気で取り組まねばならない。

 參院の各會派の代表からなる參院改革協議會の設置が決まった。コロナ禍を受けた國會のデジタル化も検討されそうだが、最大の焦點は長年の宿題である一票の格差の是正だ。

 最大格差が3?00倍だった前回19年選挙について、最高裁は昨年11月、合憲との判斷を下した。前々回16年選挙で導入された鳥取?島根、徳島?高知の合區が、反対論もある中で維持されたことを評価したが、朝日新聞の社説は政治の怠慢に助け舟を出す判決だと批判した。

 司法のこのお墨付きにあぐらをかいて、是正への歩みを止めるなら、政治の責任放棄といわざるをえない。

 もはや選挙區の定數調整のような、小手先の対応で済まされないことは明らかだ。

 最高裁は格差5?00倍の10年選挙、4?77倍の13年選挙を、それぞれ「違憲」の一歩手前の「違憲狀態」と斷じた際、都道府県単位の仕組み自體を見直すべきだと指摘した。國會も、合區を導入した改正公職選挙法の付則に、次の選挙に向けて「抜本的な見直し」を検討し、「必ず結論を得る」と明記した。

 しかし、この「約束」は果たされなかった。自民黨が強行した次の法改正は、埼玉選挙區の定數2増という安易な措置にとどまり、「抜本的な見直し」は付則から削除された。合區によって選挙區から立候補できなくなった現職議員を救済するため、比例區に各黨が優先的に當選させられる「特定枠」を設けるという、黨利黨略丸出しの暴挙もあった。

 參院の選挙制度をめぐっては、選挙區を廃止し、全國をいくつかのブロックに分けた比例代表制や大選挙區制とするなど、既にいくつかの案が示されている。抜本改革となれば、衆院との役割分擔も踏まえた丁寧な合意形成が欠かせない。自民黨は特に心すべきだ。

 この際、一票の格差だけでなく、男女格差の是正にも踏み出してはどうか。3年前、候補者男女均等法が全會一致で成立したが、政黨の努力義務にとどまり、女性候補の擁立は進んでいない。一定割合を女性に割り當てるクオータ制を、衆院に先駆けて導入できれば、參院の存在意義を高めるに違いない。

 協議會は速やかに真摯(しんし)な議論を始めるべきだ。將來の定數訴訟に備えて、改革に取り組む姿勢をみせるだけの場であってはならない。

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