(社説)カルテル容疑 電力自由化を妨げるな

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 中部、関西、中國の大手3電力が獨占禁止法に違反した疑いで、公正取引委員會の立ち入り検査を受けた。大工場などの大口顧客を奪い合う競爭を避けるため2018年ごろから、各社が従來、電力を供給してきた區域の外では積極的に営業活動をしないようにしていたカルテル容疑が持たれている。

 中部電力は、家庭向けで価格を維持するカルテルを東邦ガスと結んでいた疑いもある。いずれも事実なら、電力自由化に反する悪質な行為であり、許されるものではない。

 安定供給が重視される電気事業では、大手電力による地域獨占と規制料金が長らく認められてきた。しかし、料金の高止まりなどの弊害が問題になり、政府は00年、大口向けから料金の自由化をスタート。16年には家庭向けを含め、小売りが完全自由化された。

 最近では家庭向けでも、時間帯別などの多様な料金メニューが提供されるようになっている。新電力の販売シェアは昨年9月時點で2割弱に達した。

 自由化では大手電力も従來の區域外に進出できるようになったが、域外でのシェアは約4%にとどまる。一方、各域內での大手電力の販売シェアは今も8割前後と高い。

 新電力が公平に參入できるよう、大手9電力の送配電部門は昨年までに、別會社として切り離された。しかしいずれも100%子會社であり、獨立性は高くない。大手電力の市場支配力は依然強く、その「ガリバー」的な存在感が、公正な競爭の阻害要因になりかねないとの懸念は以前から指摘されていた。

 今年3月には九州電力が、経済産業省の電力?ガス取引監視等委員會から口頭で業務改善指導を受けた。宮崎県延岡市が計畫する新電力會社に対し、設立を妨げるような不適切な行為があったとされた。1月に電力需給が逼迫(ひっぱく)した際も、大手電力などの情報公開が不十分だったおそれがあるとして、電力取引の透明性を高めるような制度の改善を、経産省が検討している。

 今回の問題も公取委は徹底的に調べ、カルテルが結ばれていたのであれば、その経緯や背景などの実態を解明してほしい。各社は、ほかに自由化に反するような行為がないか、厳しく自らを省みる必要がある。

 人々の命や生活を支える電力の自由化は、安定供給を維持しながら進めなければならない。そのためには、大手電力と競爭できる新電力を市場で育てつつ、大手電力を適正な市場參加者に変身させることが求められる。政府は、そのための適切な監督と市場設計を、息長く続けるべきだ。

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